低身長のファッション術

世の中、正負、山谷、凹凸、高低とおよそ正反対の二つがセットで対となって存在し、それはおおむね等価であることが多いが、ファッションに関してはそれが当てはまらない。身長のことである。ファッションを云々する時、服とファッションモデルは切り離せるはずもなく、当然ながらファッションモデルの条件として長身であるのは必須である。

何センチ以下であること、などという低身長のファッションモデル募集はお子様モデルでない限り存在しない。要するに身長が高い分には2メートルあろうが、3メートルあろうが構わないのだ。見場の良い正しいウォーキングを身につけた長身のファッションモデルが新作を身にまとってステージを闊歩すると、それだけで作品は実際のファッションよりも価値が上がりそうだ。

こんなことは言わずもがなであり、むしろ低身長の人のファッションの悲劇を云々した方がよほど面白い。低身長の人のパンツやスカートはウエストで合わせても合わせなくても、パンツであれば必ず松の廊下のように、お引きずり状態になるし、スカードであればスーパーミニでする膝上ちょっと位のていたらくだ。試着室から顔を出すのを待つブティックの店員は持っているマチ針を思わず低身長の客の足に突き刺してそのファッションに腹を抱えたいのをこらえていることだろう。

 低身長で得をした、などという話がファッション界では皆無か、というとたまにはあるのである。通常服は当然ながらMサイズが最もはける。LLやSとなると残りがちだが、それでも欧米食の「おかげ」でLLは今日日の若者にあっては結構何とかさばけたりして、むしろ低身長用のSが残ったりしがちなのだ。店は仕方なく低身長やあ~い!とばかりにバーゲン品に一括り、ということになるのだ。しかしこんなのを低身長で得をした、低身長で良かった、とは言わないだろう、ええ!

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